田中貴金属工業は、2012年の年間資産用プラチナ地金の販売量と買取量をまとめた。
プラチナ地金の2012年における国内平均価格は4078円/gで、2011年の年間平均価格の4522円/gを450円近く下回った。
2012年のプラチナ価格は、最大産出国である南アフリカの鉱山会社の供給不安や上昇する金価格に同調して上昇し、3月には2012年で最高値となる4636円/gをつけたが、ディーゼル車需要の高い欧州での財政問題に対する不安感の高まりや、好調だった中国での自動車販売が鈍化したことなど、実需の支えが弱いことを背景に、7月には月平均価格が2012年で最も安い3723円/gとなった。その後、8月半ばに南アフリカ鉱山で大規模なストライキが発生し、鉱山会社の供給不安が高まったことに加えて、米国の新車販売台数が回復の兆しを見せたことから、プラチナ価格はゆるやかな上昇を続けた。
プラチナ地金の販売量は、2012年上期(1〜6月)が前年同期比61.2%の増加、下期(7〜12月)は同58.7%の減少。通年では、2011年に比べて24.4%減となった。買取量は、上期が同20.5%減、下期が同53.8%増、通年では2011年に比べて11.9%の増加となった。プラチナ価格が下がった上半期には販売量が、プラチナ価格が上がった下半期には買取量が顕著に増加していることから、活発的な値動きに連動したプラチナ資産形成への関心の高さがうかがえる。
2013年年明け以降のプラチナ国内価格は、金価格と同様、大幅円高修正により急激に値を上げるのと同時に、1月15日には2012年4月上旬以降、金価格を下回っていたプラチナ価格が、再び金価格を上回るなど、活発な値動きを示している。今後は回復の兆しを見せてきた米国、中国の自動車需要や南アフリカ大手鉱山会社の供給動向に市場の注目が集まることが予想される。