1978年8月に群馬県伊香保町(現在の渋川市)で5人が重軽傷を負う交通事故を起こし、翌年に業務上過失傷害などの罪で在宅起訴された直後から33年に渡って逃亡を続けてきた78歳の男に対する判決公判が9日、千葉地裁で開かれた。裁判所は懲役2年6か月の実刑を命じている。
起訴状によると、男は1978年8月21日に伊香保町(現在の渋川市内)で無免許であるにもかかわらず、乗用車を泥酔状態で運転。対向車と衝突する事故を起こし、このクルマに乗っていた5人に重軽傷を負わせた疑いがもたれている。
男は1979年に業務上過失傷害と道路交通法違反(無免許、酒酔い運転)の罪で在宅起訴されたが、検察や裁判所に報告しないまま転居。その後、33年間に渡って行方がわからなくなっていたが、男が千葉県内に在住していることが判明。今年3月に千葉地検が身柄を拘束していた。
これまでの公判で被告の男は「病気を患っていて、刑務所に入ると死んでしまうなどと思った」などと主張していたが、9日に行われた判決公判で、千葉地裁の丹羽敏彦裁判長は「被告は処罰を逃れたいという身勝手な理由で長期間逃亡した」と認定した。
その上で裁判長は「被告は逃亡中にも無免許運転を繰り返しており、情状は極めて悪い」、「当時14歳だった被害者の左目を失明させるケガを負わせるなど、その結果も重大。「甚だ身勝手であり、法律を守ろうとする意識が欠如している」として、被告に対して懲役2年6か月の実刑判決を言い渡している。