交通トラブル起因の死亡ひき逃げ、被告の殺意を認めず

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昨年1月、大阪府大阪市内で発生した交通トラブルを発端とする死亡ひき逃げ事件を起こしたとして、傷害致死や自動車運転過失致死などの容疑に問われた44歳の男に対する判決公判が16日、大阪地裁で開かれた。裁判所はひき逃げのみを認め、罰金刑を命じた。

問題の事件は2011年1月22日午後11時45分ごろに発生している。大阪市中央区東心斎橋1丁目付近の市道(幅員約5mの一方通行路)を走行していたワゴン車と、一団となっていた歩行者の1人が接触。ワゴン車はそのまま走り去ったため、39歳の男性が停止させようと追いかけた。

男性はクルマを停止させようとしがみついたが、数十メートル離れた交差点で振り落とされ、その際に頭部を強打。近くの病院に収容されたが、後に死亡した。

警察は目撃情報から43歳(当時)の男を殺人未遂容疑で逮捕。男は現場から離れたことは認めたが、死亡した男性が「殺すぞ」などと脅し、ワイパーをもぎ取るなどしたため、緊急避難的に現場を離れたと主張していた。検察は「殺意は無かった」と判断し、傷害致死や道路交通法違反(ひき逃げ)の罪で起訴。後に自動車運転過失致死を予備的訴因として起訴内容に追加していた。

16日に行われた判決公判で、大阪地裁の遠藤邦彦裁判長は「事故は被害男性の尋常でない攻撃から回避する際に発生したもので、被告に殺意は無かった。被告側には故意の暴行は認められない」として、緊急避難を認定。傷害致死や自動車運転過失致死については無罪とした。

しかし、道交法違反(ひき逃げ)については「乗り上げ時の衝撃から、事故を起こしたことについては認識できた」として成立を認め、この部分のみを有罪と認定。罰金5万円の刑を言い渡している。

《石田真一》

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