フィアット『500 by Gucci』は、グッチ創設90周年でもあった昨年、フィアットとのコラボで生まれたモデル。実車に触れて印象的なのは「よくあるお手軽限定車にはない、こだわりの作り込み」だ。
とくに“GG”のパターンがメイン部の表面に型押しされたFrau社製本革シートは、厚みがある上品な風合い。上等さにかけて、フィアット500のクラスでは法外のレベル。“小さな高級車”のいいお手本だと思う。やはりGGロゴを表皮に型押ししたヘッドレストも標準車にはないクッション入り。さらに“グッチウェブ”と呼ぶおなじみの緑×赤ストライプのシートベルトは、装着時に車外からも目を惹くほどの鮮烈な印象。
外観も太めのストライプほか、シルバー調のモール類(インテリア各部も、標準車のメッキ調部分のほとんどが同じシルバー調に変更されている)、ステッカーではなく型モノであつらえたGucciのバッジなど、手が込んでいる。
ソフトトップ付きの『500C』では、トップの中央にストライプが走り、さらにお洒落な雰囲気に仕立てられている。パワーユニットはツインエアではなく1.2リットルだが、よく止まるアイドリングストップ付き。標準車同様の軽妙な走りが楽しめる。
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年より『GOLD CARトップ・ニューカー速報』の取材/執筆を皮切りにフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。