今年はプレミアムコンパクトSUVの当たり年。そのなかで『XC60』のチャームポイントといえば、美しさとやさしさに尽きる。
デザインはとくにインテリアがいい。ブラック&イエロー、ブラウン&ベージュとけっこう大胆な色使いなのに、ハデさはなくむしろ上品。フローティングタイプのセンターパネルにはライトオークも選べるし、北欧テイスト全開だ。しかもシートの座り心地がほっこりしていて、スタートする前からなごんでしまう。
そのわりに走りはスポーティで、3リットルターボエンジンの加速はけっこう力強いし、ハンドリングは予想以上に軽快で、ロールをうまく抑えているので背の高いクルマに乗っている感じがしないけれど、乗り心地はハードじゃないし、路面が悪くてもしっかり直進し続ける懐の深さもある。進んで飛ばしたくなるというより、安心してハイペースをキープできるタイプ。気分に合わせてスポーツもリラックスもできる両刀遣いなのだ。
時代の流れに合わせてスポーティに振りつつ、ボルボらしさを忘れなかったクルマ作りに好感が持てた。でもこうなると、遅れて追加されるという自然吸気エンジンが気になる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト 試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。