“ビッグスマイル”な顔付きはかなり大胆で、中には「プジョーの亜流に見える」なんていう人もいるけれど、今となっては確かにマツダ車なりの表情とも思えるのは、トヨタや日産車だけには決して似せるまいと頑張ってきた、「継続は力なり」ということか。
走りのテイストでより強い好印象を受けたのは、「i-stop」が話題の2.0リットルモデルではなく、廉価版として設定された1.5リットルモデルの方。
CVT特有の「滑り感」が抑えられたこのモデルの走りは、日常シーンには不自由のない加速力を味わわせてくれるし、何よりもシャシーのバランスが2.0リットルモデルよりも上なのが美点。
決して驚くようなグリップ力はないものの、「4つのタイヤがしっかり仕事をしている」という好感触は日本車の中では屈指のレベル。一方で、見掛けの値段を下げるために、欧米向けには標準装備されるスタビリティ・コントロールを省いたのがとんでもない“手抜き”だけれど……。
例の i-stopは炎天下では室温上昇を感知して、最大でも15秒ほどしかエンジン停止を継続出来ないのが残念。夏場のアジア地域に向けてはエアコンも電動化してもらわないと、せっかくの省エネ・トライも「机上」だけで終わってしまいそう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
おすすめ度:★★★
河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。