スバルの主力モデルである新型『レガシィ』。パワートレインにおける最大の目玉技術は、何と言っても新開発のCVT(無段変速機)「リニアトロニック」であろう。
動力伝達に普通の金属ベルトではなく、チェーンを使っているのが特徴。アウディのチェーン式CVT「マルチトロニック」と同じく、チェーンはドイツの部品大手、シェフラーグループ傘下のLuK(ルーク)製。その他の部分はコア部品であるバリエーター(チェーンやベルトを挟み付けて変速比を出すための円盤状の部品)を含め、すべてスバルが自社開発。製造も内製であるという。
「CVTは変速制御の自由度が高い半面、変速に油圧を使うなどそれ自体がエネルギーを結構食ってしまうところもあります。リニアトロニックの開発に際しては、削れる損失について幅広く対策を施しました。オイルの油圧に頼りすぎず、流量の調節でバリエーターを動かしたり、鍛造部品であるバリエーター自体もCVTのチェーンとの摩擦力を高めながら回転時にうまくチェーンが離れるような組織になるように鍛造したりといった具合です」(トランスミッション開発担当者・小栗昌己氏)
リニアトロニックの伝達効率は、エネルギーの入り口から出口までをトータルして80%台。トルコン式ATに比べて油圧損失はやはり大きいが、湿式多板クラッチの損失は小さく、総合効率ではトルコン式ATと同等という。コストも思ったより安い。「4速ATよりは高いですが、5速ATよりは安いという感じです」(小栗氏)。CVTも、いよいよ無段変速のメリットが純粋に上乗せされるという時代を迎えたという感がある。