昨年11月、茨城県稲敷市内で泥酔運転を原因とする当て逃げ事故を起こしたとして、道路交通法違反の罪に問われていた警視庁の元警視(事故後に懲戒免職)に対する判決公判が11日、水戸地裁土浦支部で開かれた。裁判所は執行猶予付きの有罪を命じている。
問題の事故は2008年11月17日の午後7時25分ごろ発生している。稲敷市下馬渡付近の県道で右折待ちをしていた乗用車に対し、対向車線側に進出して強引に追い抜こうとした後続のワゴン車が接触。クルマはそのまま逃走したが、約2km離れた稲敷市岡飯出付近で脱輪しているのを追跡してきた被害者が発見し、警察に届け出た。
クルマを運転していた男は泥酔状態。当初は供述を拒んでいたが、後に警視庁で施設課の管理官職にある50歳の警視と判明。さらには同市内のキャンプ場で警視庁に勤務する同僚らとバーベキューを行い、そこで酒を飲んだこともわかった。警察は道交法違反(酒酔い運転)の現行犯で逮捕。警視庁はこの事故を理由として、男を懲戒免職処分としている。
11日に開かれた判決公判で、水戸地裁土浦支部の千松順子裁判官は「現職警官という立場を顧みず犯行に及んだ」と指摘。「警察や警官に対する国民の信頼が著しく損なわれる結果となり、社会的影響も看過できない」としながらも、懲戒免職で社会的な制裁は受けたと判断。被告に対して懲役10か月(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡した。