2006年5月、大阪府東大阪市内で軽傷ひき逃げ事件を起こしたとして、業務上過失傷害などの罪に問われた32歳の男性に対する判決公判が8日、大阪地裁で開かれた。裁判所は被害者の証言が曖昧だったことなどを理由に無罪を言い渡している。
問題の事故は2006年5月8日に発生している。同日午前、東大阪市中石切町付近の市道(幅員約2.5m)を歩いていた60歳の男性に対し、後方から進行してきたクルマが接触した。男性は右ひじなどを打撲する軽傷を負ったが、クルマはそのまま走り去った。
男性は「ナンバーに4099と書いてあったクルマが接触した」と警察に通報。車両の特徴などから住宅工事会社の社有車両が事故を起こしたと判断したが、このクルマを運転していたとされる32歳の男性は「接触した心当たりがない」と容疑を否認。しかし、検察は男性を2007年6月に業務上過失傷害と道路交通法違反の罪で在宅起訴した。
だが、後に男性の上司にあたる人物が「4098」というナンバーのクルマで事故直後の現場付近を走行していたことが判明。被害者の見間違え説も浮上した。上司は証人として法廷に立っているが、被告の男性と同様に接触の事実については否認している。
8日に開かれた判決公判で、大阪地裁の横田信之裁判官は「被害者の記憶は曖昧であり、目撃したクルマが“4099”でなく、事故後に現場を通り掛った“4098”だった可能性を否定できない」と指摘した。
その上でこの2台のドアミラーに接触痕が確認できないことから、「男性を容疑者とするには合理的な疑いが残る」として、無罪を言い渡している。