フランスで日本の公正取引委員会にあたる競争委員会は16日、携帯通信事業者『オランジュ』がアップル社と結んだ『iPhone』の国内独占販売契約は無効であるとの裁定を下した。
オランジュはフランスを代表する携帯電話事業者。国営電信事業時代の流れを汲むフランステレコム・グループの1ブランドである。2007年からアップルと5年間の独占販売契約で、iPhoneを販売していた。
これに対して、競合する携帯通信事業者『ボイグ・テレコム』が、健全な市場競争を阻害するものとして委員会に訴えを出していた。
今回の裁定はオランジュの独占販売を禁止し、同社とアップルに対して課徴金を課す。オランジュは不服として上訴することを発表したが、裁定により当面iPhone販売の他社参入は阻止できない。
そこで気になるのは、クリスマス商戦だ。7月に発売された『iPhone 3G』は、ニンテンドー『Wii』と並ぶ今年の人気プレゼント商品である。ただし、オランジュ以外の携帯事業者によるiPhone発売は、アップルとの交渉や流通ルート整備があるため、新年にずれ込むというのが大方の見方である。
同様のiPhone独占販売に関する問題や訴訟は、すでにアメリカやドイツでも起きている。いっぽう、イタリアではボーダフォンと旧イタリア電信電話公社系のTIM社、スイスではスイスコムとオランジュといったように、すでに複数事業者がiPhoneを扱っている国もある。
今回のフランスの裁定が、同様にiPhoneの1社販売体制を敷く日本に何らかの影響を及ぼすか注目したい。