アイシン精機は、絶縁油中のPCB濃度を、従来法に比べて短期間・低コストで簡易的に計測できる測定システム「イムノメジャーPCB測定システム」を開発した。
現在、三菱化学系の三菱化学アナリテック、東レ系の東レテクノやアイシン精機の関連会社など計6社が、実証試験的に使用を開始した。
イムノメジャーによる測定法は、PCBだけでなく残留農薬やウィルス、病原菌など様々な微量物質の検出への応用が可能で、今後は食の安全や健康など、幅広い分野での活用に向けて、開発する。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、絶縁油として変圧器(トランス)などに幅広く使用されていたが、カネミ油症事件をきっかけに人体へ悪影響を及ぼすことがわかり、1974年に製造販売が禁止された。しかし1974年以降に生産されたトランスの中にも、容器のリサイクルなどが原因でPCBが混入したトランスの存在が明らかとなり、その台数は国内に600万台以上とも言われ、環境への影響が懸念されている。
PCBの処理は、2001年に制定された「PCB廃棄物処理特別措置法」によって2016年までに国内に保管されているPCB全量の無害化処理が義務づけられている。
今回アイシン精機が開発したイムノメジャーでは、絶縁油中のPCB濃度が0.5ppmを超えているかどうかを、簡便・迅速でさらに大量に測定することを可能にした。従来の方法では1件のPCB濃度を測定するのに約1か月を要し、高額な測定費用がかかった。
イムノメジャーでは、汎用的なイムノクロマトに独自技術を組み合わせたディスポーザルキットにより、1日で46件のPCB検査が可能で、測定費用も1件当たり1万円以下と大幅に抑えられる見込み。
イムノメジャーPCB測定システムは、9月11日からポートメッセ名古屋で開催されるメッセナゴヤ2008に出展する。