全長がわずか3m未満のボディは、四隅にタイヤを配置するショートオーバーハングのレイアウト。そこに15インチの大径タイヤが装着されているとあって、小さなわりに骨太な印象を受ける。
トヨタ『iQ』は斬新なアイディアが盛り込まれたクルマだが、見た目の印象をいい意味で裏切る「新感覚」のクルマといえるだろう。
『スマート』やフィアット『500』といったAセグメントのライバルたちは、常にピョコピョコした乗り心地がつきまとうが、iQは直進性安定性が高く、ショートホイールベースのデメリットを微塵も感じさせることはない。また、前輪の切れ角が大きく、小回りが利く取り回しのよさは、狭い場所を走るときに重宝しそうだ。
ただ、女性が運転席に座った場合は、サイドウインドウが肩より上の位置にきてしまうため、慣れるまでは車幅感覚が捉えづらい。周囲の視認性を高め、ステアリングの切り遅れを防ぐためにも、座面の高さが調節できるシートリフターが欲しいところだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★☆☆
フットワーク:★★★☆☆
オススメ度:★★★★☆
藤島知子|モータージャーナリスト
幼い頃からのクルマ好きが高じて、2002年からワンメイクレースに参戦。市販車からフォーミュラカーに至るまで、ジャンルを問わず、さまざまなレースに参戦。2007年にはマツダロードスターレースで女性初のクラス優勝を獲得。現在はクルマの楽しさを少しでも多くの人に伝えようと、自動車専門誌、一般誌、TV、WEB媒体を通じて活動中。走り好きの目線と女性の目線という両方向からカーライフ全般をサポートしている。