三菱『ランサーエボリューションX』にはツインクラッチSSTのほかに、5速MTも用意されている。先代となる『ランエボIX』のときには6速MTが用意されていたのに、ランエボXでは5速しか設定がないのはなぜなのだろう。
開発責任者を務めた商品企画本部 藤井啓史さんは「ランサーエボリューションXでは2ペダルのツインクラッチSSTを設定した関係で、マニュアル車はラリーなどの競技ベース車として使うためのユーザーに向けた設定としています」
「ですが、5速MT新設計しており、1 - 4速はクロスしたギア比を採用し、操る楽しみのあるミッションに仕上げていますので、GSRの5速MTでもマニュアル派の方にも満足できる仕上がりだと思います」と話す。
ランエボXは一般ユーザーは主にツインクラッチSSTを選び、MTは主にラリーなどのモータスポーツ参加者に向けた仕様のようだ。
実際に5速MTのGSRに乗ってみたが、確かに面白い仕様だった。1 - 4速までのギヤ比が接近しているので、素早いシフトアップが要求されレーシングマシンに乗っているかのうようなフィーリングを味わえる。
さらに新開発されたMTもフリクションが少なく、スパッと入ってくれるので操作感も良好。カタログを見ている限りでは6速MTというのは魅力だが、実際のモータースポーツシーンではレースでも6速を使う機会は滅多になく、軽量な5速でじゅうぶんというのが鉄則だ。そんな違いのわかる人なら、この5速MTも面白い存在といえるだろう。