【池原照雄の単眼複眼】国内市場を「どぎゃんかせんと」の取り組み

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ロクな年でなかった降参降参

2008年は自動車産業にとって濃霧が立ち込める海原への出航となった。トヨタ自動車が07年の世界生産でトップに立ち、日本企業のパフォーマンスは最高潮に達しているものの、先行きの視界は不良だ。

多くの自動車メーカーが最大の収益源とする米国市場が冴えないうえ、足元の日本市場は底が見えない。ホームマーケットの退潮は、各社の存続基盤を揺るがしかねないだけに「国内市場をどぎゃんかせんといかん」という取り組みが、当面の大きな課題となる。

07年の国内新車総需要(軽自動車含む)は前年比6.7%減の535万3000台余りだった。25年前の1982年の水準まで後退した。昨年のマーケットはこんな語呂合わせで覚えやすい。「ロクな(6.7%減)年じゃなかった。降参降参(535.3万台)」。

◆手ごたえのあった「大試乗会」

もちろん、お手上げするわけにはいかない。7日に行われた自動車工業団体の賀詞交換会の挨拶で日本自動車工業会の張富士夫会長は、新年のテーマとして「国内市場の活性化」を第1に掲げた。各社ごとの取り組みも、いち早く危機を抱き、06年末に社内プロジェクトを立ち上げたトヨタを筆頭に活発化してきた。

トヨタは活性化策の一環として昨年12月に東京のお台場で大試乗会を開いた。想定以上の来場者を集め、今年は「全国に展開する」(渡辺捷昭社長)計画だ。

国内営業の指揮を執る豊田章男副社長は、「昨年を底としたい。ポイントは(顧客に接する)フロントラインを元気にし、販売会社とクルマの楽しさ、利便性を訴求し続けること」と、時間をかけながらも地道に取り組む構えを強調する。

◆ネットの声に耳を傾ける試み

商品開発でも新たなアプローチが始まっている。日産自動車は8日、インターネットによるマーケティングへの取り組みを発表した。消費者の声を商品づくりに反映するサイト「空想生活」を運営するエレファントデザインと提携、「空想くるま」というコミュニティサイトでカーライフに関するアイデアを募集するものだ。

サイバー空間の活動だけでなくパネル討論会なども開催、『キューブ』を素材にして提案を実際のクルマに反映する試みも行う。また、投票によって支持率の高いアイデア提案者には、志賀俊之COOに直接プレゼンしてもらう。

バブル経済崩壊後も国内市場は1990年代半ばのミニバン、今世紀初頭からのコンパクトカーと、市場を牽引する主役商品があった。ここ数年の市場退潮には若年層のクルマ離れや、使用年数の長期化といった複合的な要因があるものの、次の主役が不在となっていることも大きい。

日産の試みはある意味、企業のマーケティング力の限界を露呈するものだが、「次」が見えてこないのは各社共通の悩み。ここはプライドをかなぐり捨てることも必要だ。

《池原照雄》

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