【伊東大厚のトラフィック計量学】1600万トンのCO2削減を目指す「道路の中期計画」

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◆「道路の中期計画」と温暖化対策

先月、国土交通省は今後10年間の道路インフラ対策をまとめた「道路の中期計画(素案)」を公表した。中期計画は、65兆円という道路投資規模ばかりが注目されているが、その妥当性はひとまず置くとして、対策の中身を見てみよう。

温暖化対策では、幹線道路の渋滞ポイントの解消や大都市の環状道路整備などで年間の渋滞損失時額を10兆円から7兆円に減らすことや、道路の対策で運輸部門のCO2を1600万トン削減するなど、数値目標が掲げられている。


◆どんな道路インフラ対策がCO2削減にとって有効か?

筆者がCO2対策として有効だと思うのは、渋滞ポイントの解消、高速道路の料金引下げやインターチェンジ増設による利用率のアップ、大都市の環状道路整備の3つだ。

渋滞ポイントの解消は、最も有効な対策だと思う。中期計画によれば、日常的に渋滞している交差点が9000か所あるらしく、うち渋滞損失の大きな上位3000か所で対策を優先するようだ。仮に交差点1か所あたりのCO2削減効果が2000トン程度としても、3000か所まとまれば600万トンもの効果になる。

高速道路の利用率アップも有効だ。日本は、道路の総走行キロに占める高速道路の割合が15%弱だ。料金が割高なこととインターチェンジ間隔が長いことなどから欧米より低く、地域差もある(図1、図2)。高速道路は燃費のよい速度帯で走れCO2の排出も少ない。全国で利用率が1%アップするとCO2は60万トン減るので、5%アップで300万トン、10%アップすれば600万トンだ。

環状道路の整備が最も効果的なのは首都圏だろう。首都圏は3本の環状道路が予定されているが、首都高速中央環状線や圏央道をはじめ、今後5、6年でかなり整備が進むので、CO2削減など環境面の期待も大きい(図3)。


◆効果の評価が重要

ここで重要となるのが、毎年の効果の評価だ。対策でどのくらい渋滞が改善しCO2が減ったかを確認し、次のアクションにつなげるには、毎年きちんと効果を計算しなければならない。渋滞対策の評価指標は走行速度だが、渋滞は時々刻々変化するため、一日だけとか特定の時間帯だけの調査では正確な数値は出ない。

先日、本田技研工業は埼玉県の渋滞対策の評価にフローティングカーデータ(※)を提供することを発表した。このデータを活用すれば、24時間365日、道路の正確な走行速度がわかる。さらに車両感知器などの交通量データと組み合わせれば、毎年の渋滞損失額やCO2排出量をかなりの精度で計算することができるはずだ。情報技術を活用した交通のモニタリングが全国に波及することを期待したい。

※フローティングカーデータ(プローブデータ):自動車のセンサーと通信機能を活用し、走行速度など実際に道路を走行中の自動車から取得されたデータ。
《伊東大厚》

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