煽り行為に実刑判決 反省しない男

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今年1月、栃木県大田原市内の国道4号を走行中、前走する軽乗用車を高速度で執拗に煽り立てて、路外逸脱事故を誘発して2人を死傷させたとして、危険運転致死傷などの罪に問われた24歳の男に対する判決公判が18日宇都宮地裁で開かれた。裁判所は懲役9年の実刑を命じている。

問題の事件は今年1月21日未明に発生した。栃木県大田原市下石上付近の国道4号を走行していた25歳女性の運転するクルマが道路右側の路外にして横転、乗っていた3人が死傷した。事故を起こしたクルマの近くには、別の乗用車が道路脇の建物に突っ込んだ状態で放置されており、警察では後にこのクルマを運転していた24歳の男を道交法違反(無免許運転)の容疑で逮捕した。

当初、この男は「逸脱事故については知らない」と証言していたが、被害者証言によって男の運転するクルマは約2.5kmに渡って故意に車間を詰めたうえ、クラクションを連打しながら約100km/hの高速度で煽り立てるという無謀運転を行っていたことがわかった。

検察は「軽乗用車の逸脱事故は男の無謀運転で誘発された」と判断。危険運転致死傷など罪で男を起訴したが、被告の男はこれまでの公判で道路交通法違反については事実を認めたものの、煽り行為については全面的に否認してきた。

18日に行われた判決公判で、宇都宮地裁の池本寿美子裁判長は「被告人は(軽乗用車の)通行を妨害する目的で煽り行為に及んだ」と認定した。その上で裁判長は「被害者は高速度で走行を続けた結果として事故を起こしたが、これは被告の煽り行為に恐怖を感じ、逃れたいという一心からだった」と指摘。事故と煽り行為に因果関係があることも認定した。

裁判長は「被告は事故後に現場から逃走し、証拠隠滅を図るなど犯行後の情状も悪い」、「公判でも被害者側に責任を転嫁する、不可解ともいえる弁解に終始しており、反省は認められない」として、被告に対して懲役9年の実刑判決を言い渡している。

《石田真一》

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