なかなか減らないCO2
5月末、政府は2005年度の温室効果ガス排出量を発表した。日本国内の温室効果ガスの総排出量は2004年度比で0.2%増加、1990年度比では7.8%増であり、近年微増傾向になってきたとはいえ、依然増加を続けている。(表1)
05年の冬はとても寒く、暖房にたくさん燃料を使ったなど“事情”はあるものの、90年度比マイナス6%という京都議定書の目標達成は、極めて難しい状況にある。
◆CO2の計算方法を御存知ですか?
ところで、CO2排出量をどうやって計算しているのか、ご存知の方は少ないのではないだろうか。CO2は主に燃料の燃焼によって排出されるので、石炭、天然ガス、ガソリン、灯油など燃料消費量の統計から計算する。従って政府は毎年、CO2など温室効果ガス排出量とともに、日本のエネルギー消費量の実績値も発表している。
燃料1リットル(あるいは1kg)あたりCO2が何kg排出されるかは燃料で異なる。燃料によって、発熱量や炭素の含有率が異なるためだ。例えばガソリンでは1リットルあたりCO2は2.32kg。燃費がリッター10kmの乗用車で年間1万km走る人のガソリン消費量は1000リットルだからCO2排出量は2.3トン。なかなかの重量である。
◆減り始めたマイカーのCO2
日本全体のCO2が減らない中、自動車からの排出が9割近くを占める運輸部門のCO2は、04年度比マイナス1.8%、470万トン減少し、2億62百万トンから2億5700万トンとなった。中でもマイカー(自家用乗用車)は、390万トン減となり大きく寄与した。(図1)
運輸部門のCO2排出量は、01年度の2億68百万トンをピークに減少基調に入ってはいたものの、多くはトラックなど貨物輸送のCO2排出量減であった。家庭やオフィスと並び増加の一途を辿ってきたマイカーのCO2が減少に転じたことは、注目に値する。
日本では、マイカーの燃料の多くはガソリンだ。マイカーのCO2が減ったことは、ガソリンの需要減を意味する。実際、マイカーが多くを占める運輸部門のガソリン消費量は6133万キロリットルから6028万キロリットルと1.7%減であり、需要減は1984年以来、実に21年ぶりのことだそうだ。さらにここ数年、軽油を燃料とするディーゼル乗用車の保有台数は年40万台以上減り続けている。ディーゼルからガソリン乗用車への買い換えがあるにも関わらず、ガソリンは減っているのだ。
次回は、なぜマイカーのガソリン消費量が減ったのか、少し分析してみたい。