【伊東大厚のトラフィック計量学】道路交通はどこまで安全になるか? その4…政府目標は達成できるか

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◆政府目標の達成見通し

2010年段階の日本政府の目標は、交通事故死者数を5500人以下、負傷者数100万人以下というものだ。2006年は交通事故死者数6352人、負傷者数109万8199人であったので、目標までそれぞれ852人、9万8199人ということになる。

目標値は、設定時の2002年(死者8326人、負傷者116万7855人)を基準にすると、それぞれ2826人(34%減)、16万7855人(14%減)を目指している。2006年までの4年間でそれぞれ1974人(24%減)、6万9656人(6%減)となったわけだから、2010年まで残り4年間で達成の見通しも出てきたと言えるだろう。しかしこの目標は通過点に過ぎない。あくまで“交通事故のない社会”が最終ゴールだ。


◆自動車やオートバイの事故はどこまで減らせるか

2006年の自動車やオートバイの事故は、事故件数の合計値が83万8910件、うち死亡事故は5668件だ。これを法令違反別に見ると、信号無視やスピード違反といった“故意の違反”より、安全不確認、脇見といった“確認・判断・操作ミス”が違反につながったケースのほうが多い(表1、いずれも事故の第一原因者側のみの数値)。

前者はまだ何とか減らせる可能性があるのだが、死亡事故の半数以上、事故全体の8割近くを占める“確認・判断・操作ミス”による事故を減らすことは難しい。“確認・判断・操作ミス”による事故は、事故件数の合計値が63万4148件、うち死亡事故は3186件である。これまでの対策のみでは、事故全体の2割減、死亡事故で半減程度に留まるのではないだろうか。

追突しそうになると警告の上自動ブレーキをかける“プリクラッシュ・セーフティ”を御存知の方もいると思う。“確認・判断・操作ミス”を防ぐためのシステムが実用化されつつある。 “プリクラッシュ・セーフティ”は、今年度からトラックなど大型車向けに購入助成制度が始まった。情報技術を活用した安全な自動車や道路交通システムの普及に期待がかかる。


◆自転車や歩行者の事故はどこまで減らせるか

日本は、自転車利用中や歩行中の事故を減らすことが課題だ。交通事故死者数のうち、自転車利用中と歩行中が4割以上を占め、その割合は欧米の倍である(図1)。

欧米諸国のうちイギリスは、人口10万人あたりの交通事故死者数が5.6人と日本より低く、世界で最も交通事故リスクの少ない国のひとつだ。自転車や歩行者の人口あたり死亡者比率も低く、自転車乗車中は日本0.9人に対し0.2人、歩行中では日本2.9人に対し1.4人である(図2)。

様々な対策によって、日本も自転車や歩行者の事故をイギリスと同程度まで減らすことは可能だろう。自転車と歩行者の事故は2006年で死者2874人、負傷者25万3424人だ。半減できれば、1000人以上の命が救え10万人以上負傷者数を減らすことにつながる。

これからの交通安全対策のキーワードは、情報技術の活用と歩行者・自転車の重視、と言えるだろう。
《伊東大厚》

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