昨年9月、埼玉県川口市内の市道で、脇見運転を行った乗用車が散歩中の保育園児の列に突っ込み、21人を死傷させたとして業務上過失致死傷罪に問われた38歳の男に対する判決公判が16日、さいたま地裁で開かれた。裁判所は懲役5年の実刑を命じている。
事故は2006年9月25日午前に発生した。川口市戸塚東2丁目付近の市道で散歩をしていた保育園児や引率の保育士など39人の列に対し、後ろから走ってきた乗用車が突っ込んだ。この事故で園児4人が死亡、他の園児と引率の保育士あわせて17人が重軽傷を負っており、警察はクルマを運転していた38歳の男を業務上過失致死傷容疑で逮捕した。
クルマは道路左側へ斜行して園児の列に衝突したが、男はは事故直前に助手席に置いていたカセットプレーヤーを操作しており、前方をまったく見ていなかったことが後に判明。2006年5月にも同様の脇見を理由とする物損事故を起こしていたことも捜査の過程で明らかになった。
16日に行われた判決公判で、さいたま地裁の中谷雄二郎裁判長は「被告の無謀かつ危険な運転性癖によって事故は起きた」、「クルマを走る凶器として暴走させるという無謀運転の極み。その過失と結果は重大だ」と指摘した。
その上で裁判長は「危険性や悪質性が際立っており、業務上過失致死傷罪の最高刑で臨むほかないが、刑の上限をもってしても本件事故に対する社会的非難、被告の罪責を評価し切れない」とまとめ、被告に対して懲役5年の実刑判決を言い渡した。