クライスラー『300Cツーリング』に乗って最初に気付くのが、セダンに比べてハンドリングのバランスがよくなっていることだ。
ダイムラークライスラー日本、クライスラーグループマーケティング部の中村伸一さんは「300Cツーリングはワゴンボディを採用しているので、リヤが重くなっていますが、それで全体の重量バランスがよくなっていると思います」という。
事実、300CのセダンのV8モデルは、重いエンジンをフロントに搭載する格好なので、フロントヘビーな印象だが、300Cツーリングはその重量バランスが改善されているように思える。
そのぶん、重心も高くなり、ボディ剛性も落ちているはずなのだが、そういったネガティブな部分は、あまり感じさせないハンドリングに仕上がっている。また、フットワークそのものも、旧来のアメリカ車のような、おおらかなものではなく、欧州車のような落ち着いた雰囲気をもっている。
それもそのはず、300Cツーリングの生産はアメリカではなくオーストリアの工場で行なわれており、プラットフォームもメルセデスベンツの先代『Eクラス』のものを一部流用しているのだ。そういった背景ならば、欧風仕上げになっているのも不思議ではないだろう。
クライスラー300Cツーリングは、見た目こそアメリカンマッスルカーそのものだが、ラゲッジの使い勝手やハンドリングに関しては、意外なほどに繊細な雰囲気を持ち合わすクルマなのだ。