トヨタ自動車は、運転者の状態に応じて作動するプリクラッシュセーフティシステムを世界で初めて開発したと発表した。この技術を2006年春に発売するレクサス車に採用する。
トヨタは2003年に世界で初めて、進路上にある車両や障害物を検知して衝突被害軽減に寄与するレーダー方式のプリクラッシュセーフティシステムを開発したほか、2003年には、運転者のブレーキ操作がない場合にもブレーキ制御するプリクラッシュブレーキ機能を追加した。2004年には、ミリ波レーダーの情報にカメラの情報を加えた画像フュージョン方式の検知システムを採用するなど、先進の安全技術であるプリクラッシュセーフティシステムの開発に取り組んできた。
今回開発した新しい安全技術は、自動車事故要因の大半が運転者のミスにある実態を踏まえて、進路上の車両や障害物だけでなく、運転者の状態にも着目し、運転者の顔の向きを検知する機能を採用した。
具体的には、ミリ波レーダーとカメラによる進路上の検知に加え、ステアリングコラムに搭載したカメラと画像処理コンピュータを用いて運転者の顔の向きを検知し、運転者が正面を向いていない状態で衝突の可能性が高いと判断した場合に、警報を発するシステム。これにより、運転者が正面を向いている状態よりも早いタイミングで警報することができるため、衝突被害の軽減が見込まれる。
同社では、今後も運転する人の状態を検知する技術の開発を進め、プリクラッシュセーフティシステムをはじめとする、車両の安全性能の向上を図っていく方針だ。