富士通テンは、ECLIPSE(イクリプス)ブランドで発売するカーナビゲーションの2005年夏モデルを発表した。ナビの心臓部を一新するとともに、ハイエンドモデルには「アクティブ・ウイング」という新しい操作パネルを採用している。
「2DIN-AVN」というナビの形状は、“ナビとオーディオ・ビジュアルの機能を融合する”という考えから1997年に富士通テンが他社に先駆けて採用したものだ。
DVDビデオや、地図データを収めるハードディスク(HDD)に音楽ファイルをリッピングすることが一般的になった今では、カーナビを発売する各社から2DIN-AVN形状のナビがラインナップされている。
自動車メーカーにディーラーオプション用として納入する純正ナビ(DOP)については、ほぼ100%が2DIN-AVNの形状となっていると言っても過言ではない。
その一方、AVNが当然となってきた状況の中で、富士通テンは他社製品との差別化に苦しむことになる。
2DINという規格が定まっている中ではデザイン上の差異をつけることにも限界があり、さらには「2DINサイズでは6.5型以上への画面拡大が望めない」という構造的な弱点もあった。
そこで富士通テンは7V型インダッシュモニターを備え、オーディオ使用時にはこれを収納してオーディオ専用機のようにも見せる『AVN9903HD』を2003年秋モデルとして発表する。当時は「使用頻度の高いオーディオ機能をメインとして、オーディオとナビという二つの顔を用意した」と説明していた。
だが、筐体下部から上方に向かってモニターが起立するというスタイルのため、シフトレバーと干渉する等の理由から取り付け可能車種が限られることもあり、2DIN-AVNのようなヒットにはつながらなかった。
そこで2005年夏モデルではオーソドックスな2DIN-AVNに回帰。2DINサイズをフルに使って7V型モニターを搭載。ハードキーをアクティブ・ウイングにまとめて設置するという新たな操作系と、スタイルを提案した。
会場説明員は「ハードキーが載ったアクティブ・ウイングのサイズは必要最小限なので、取り付け可能車種は増えています」と説明している。