千葉の8人死傷、泥酔運転の被告が争う姿勢

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男女8人が後ろから走ってきた軽自動車にはねられて死傷した事件で、泥酔状態でこのクルマを運転していたとして危険運転致死傷や道路交通法違反の罪に問われていた31歳の男に対する初公判が19日、千葉地裁で開かれた。

被告は起訴事実の一部を否認。危険運転罪ではないと主張し、争う姿勢を見せている。

問題の事故は今年2月5日に発生している。同日の午後9時20分ごろ、近くの飲食店から出てきたばかりの男女8人が松尾町下野付近の県道を歩いていたところ、後方から猛スピードで走ってきたクルマに全員が相次いではねられた。

はねられた8人は衝突の衝撃で数十メートル先まで弾き飛ばされ、このうち59歳の男女4人が全身打撲が原因で死亡。他の4人も重軽傷を負った。

事故を起こしたクルマはそのまま走り去ったことから、警察では死亡ひき逃げ事件として捜査を開始。翌6日朝に出頭してきた31歳の男を業務上過失致死傷と道交法違反(無免許運転)の容疑で緊急逮捕している。

男は逮捕直後の事情聴取において「飲酒運転の発覚を恐れた」と供述。当初は「ワンカップ1本程度」と話していたが、その後の調べで事故当日の午後7時ごろからビールをコップで1杯、日本酒6合、焼酎水割りをコップで数杯飲み、泥酔に近い状態だったことが明らかになっている。

また、捜査の過程で過去の違反歴も発覚。警察では「非常に悪質である」と判断し、危険運転致死傷容疑で送検。検察もこれを支持して同罪で起訴していた。

19日に開かれた初公判の冒頭陳述において、検察側は被告の男が恒常的に飲酒運転を繰り返していたことや、過去にも業務上過失傷害罪で罰金刑を2回も受けていることを指摘。

事故当日も漫然と交差点を通過したり、ガードレールへの接触事故を起こしそうになったことを被告本人が認識していたとこについても触れた。

これに対して被告は「事実とは異なる」として起訴事実の一部を否認。飲酒と無免許運転の事実は認めたものの、「これらと事故との因果関係はない。亡くなった友人のことを考えており、それが原因で注意散漫になった」と、あくまでも前方不注意が事故の主因であると主張した。

また、衝突時の速度についても検察側主張の「70km/h以上」説を否定。「実際には60km/h程度。衝突した際も人をはねたとは思わず、路上に落ちていた物と当たった」と主張。事故の責任そのものを回避する言動を繰り返した。

弁護側も「危険運転致死傷には当たらない」、「被告は衝突物を人間とは認識していないのでひき逃げでもない」などと主張しており、積極的に争う姿勢を見せている。

《石田真一》

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