示談を有利にしようと、相手の違反歴を入手

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山口県警は9日、交通事故の示談交渉を有利に進めようと、加害者側の交通違反歴を職権を使って入手した下松署の巡査部長と、この巡査部長から照会を依頼された警部補を書類送検するとともに、同日付けで戒告の懲戒処分を実施した。

山口県警・監察官室の調べによると、公務員職権乱用容疑で書類送検されたのは、下松署・地域課に所属する57歳の巡査部長と、55歳の警部補の合わせて2人。問題の発端となったトラブルは、今年1月中旬に巡査部長の実子が巻き込まれた交通事故だという。

今年1月18日、巡査部長の娘が山口県内で乗用車を運転中、速度超過などが原因で対向車線側に逸脱してきた22歳の男性が運転する乗用車と衝突。巡査部長の娘夫婦と孫の合わせて3人が打撲などの軽傷を負った。

巡査部長は当時病気療養のために休職していたことから、娘は示談交渉の窓口になるように依頼。巡査部長は事故の経緯などから、男性が以前にも同様のケースで違反摘発を受けているのではないかと推測し、同僚の警部補に対して違反歴の紹介を依頼した。

警部補も特に疑念を抱くことはなく、県警本部の情報管理課に照会を頼み、その結果を巡査部長に報告していた。

1月下旬になり、巡査部長は加害者の男性側に連絡を取り、その際に警察官であることを付けた上で「君は違反が多いようだが…」などと、過去の違反歴を告げながら事故を起こした責任をしっかりと取るように要求したという。

男性側が県警本部に抗議したことで事態が発覚。巡査部長は「違反歴を知ることで、相手の人となりを知りたかった」と供述したが、監察官室では「違反歴を突きつけることで示談交渉を有利に進めようとした」と判断。

巡査部長と警部補の2人を公務員職権乱用容疑で書類送検するとともに、8日付けで戒告の懲戒処分を実施した。

県警では「違反歴は個人情報でもあり、その取り扱いには注意するように指導を徹底したい」とコメントしている。

《石田真一》

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