漫然と大型トラックをバック…運転手に禁固刑

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昨年12月、栃木県佐野市内で後退中の大型トラックに15歳の女子中学生がはねられて死亡した事故で、業務上過失の罪に問われた31歳の男に対する判決公判が22日、宇都宮地裁足利支部で開かれた。裁判所は被告に対し、禁固2年6カ月(執行猶予5年)の有罪判決を命じている。

問題の事故は昨年12月24日に発生している。同日の夜、佐野市内に住む15歳の女子中学生が帰宅せず、行方不明にになったと警察に通報があった。管轄の栃木県警・佐野署では30人体制での捜索を行ったが、翌25日の朝に佐野市免鳥町付近の駐車場で死亡しているのが発見された。

遺体の付近には靴が脱げた状態で転がっていたものの、靴下の裏は汚れておらず、さらには女子中学生が乗っていた自転車が破損して放置されるという状況から、警察では女子中学生がクルマにひかれるなどの事故に遭い、発見現場の駐車場に遺棄されたとみて、死亡ひき逃げ事故として捜査を続けていた。

だが、後の調べでこの駐車場を普段から使用している31歳の男が、大型トラックをバックで駐車場に入れようとした際、真後ろを自転車で走っていた女子中学生の存在に気がつかず、そのままはねていたことがわかった。男は女子中学生をはねたという認識の無いまま帰宅。翌朝になってから、再びトラックに乗って出かけていた。

警察官が遺体を発見したのは男が出かけた後であり、駐車場に出入りしていたトラックには気がつくのが遅れた。男は業務上過失や道路交通法違反容疑で逮捕。同罪で起訴されている。

22日に開かれた判決公判で、宇都宮地裁足利支部の山田篤裁判官は「被告は全長が12mもある大型トラックを運転しているにも関わらず、後方の安全確認を十分に行わないまま、漫然とトラックを後退させたことが事故につながった」と認定した。

その上で「わずか15歳で命を絶たれた被害者の無念は察するに余りあり、遺族の悲しみの深さは想像を絶する」と指摘。示談交渉が不成立であることや、遺族の被害感情などを勘案したことにも触れ、「被告には多くの交通違反列があり、交通法規順守の姿勢の乏しさも事故の一因といえる。総合的に勘案しても過失の態様は重大かつ悪質」と結論づけ、被告に対して禁固2年6カ月(執行猶予5年)の有罪判決を命じた。

《石田真一》

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