神奈川県警は20日、過積載の検問から逃れる目的で自動車専用道路と高速道路の分岐点近くに大型トラックを駐車し、後続車の追突事故を誘発したとして32歳のトラック運転手の男を業務上過失致死容疑で同日までに書類送検した。
神奈川県警・高速隊によると、問題の事故は昨年12月5日未明に発生している。横浜市旭区上川井の保土ケ谷バイパスと東名高速の分岐点付近で、駐車中の大型トラックに後続の大型トラックが追突するという事故が起きた。この事故で後続車を運転していた35歳の男性が全身を強く打って死亡している。
警察では業務上過失致死容疑で現場に駐車していたトラックの32歳運転手から事情を聞いていた。取り調べに対し、運転手は当初「現場付近で眠気を感じ、運転の継続が困難になってやむを得ず停車した」と供述していた。
が、事故を起こした大型トラックは10トン車だったが、当時は建設廃材など19トンが積載されていたことが判明。これを追及すると、運転手は「現場の先で実施されていた過積載検問から逃れるためだった」などと、供述内容を一変させている。
運転手は同僚から「高速を入ったところで過積載検問をやっている。気をつけろ」と携帯電話で連絡を受けた。しかし、すでに入口近くまで進行していたこともあり、現場付近が見通しの悪いことを知りながらトラックを駐車。
乗用車はトラックを回避していったが、駐車から5分もしないうちに避けきれなかった大型トラックが突っ込んだとみられる。
さらに取り調べを進めたところ、この運転手は過積載走行を「危険だから嫌だ」と主張していたにも関わらず、会社側が「そのままやれ」と強く指示していたこともわかった。
このため、警察では追突事故を起こす原因を作った運転手を業務上過失致死容疑で。この運転手に対して過積載運行を指示した会社(法人)を道路交通法違反(過積載下命)容疑で書類送検した。
停車していた車両の運転手に対して業務上過失致死を適用するのは異例だが、警察では「今回の駐車には事故を誘発したという一定の責任が生じる」とコメントしている。