消防車が迷走…全焼被害で賠償請求

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「自宅が全焼する被害に遭ったのは、消防署が誤った場所に消防車を向かわせるという連絡ミスが生じたから」として、被災住人が消防署を訴えた。

福岡県浮羽町に住む男性が、地元の消防を管轄する福岡県南広域消防組合に対し、総額約2850万円を請求する民事訴訟を福岡地裁久留米支部に提訴していたことが18日に明らかとなった。手配ミスによって消防車が到達する時間を要し、消火のチャンスが失われたと主張する。

訴状によると、問題の火災は今年2月25日の正午ごろに発生した。浮羽町笹尾にある民家から火災が発生。近隣の住民がこれを発見し、119番通報を行った。

この際、住民は「現場は笹尾バス停の近く」と通報したが、通報を受けた浮羽消防署は消防車に出動命令を行う際に、誤って同町小塩地区にある「笹の隈バス停付近」と無線連絡してしまった。

笹尾バス停と笹の隈バス停は山間部にある合所ダムを挟んで約12km離れているが、通報を受けて出動した約10台の消防車は指令内容に従い笹の隈バス停付近を目指した。

消防署が火災現場の誤りに気づいたのは出動命令を下してからおよそ5分後。緊急の無線連絡を行い、全車両に対して「笹尾バス停付近に向かってください」と改めて指示を出した。

しかし、消防車はUターンなどに手間取り、現場へ最初に消防車が到着したのは通報から25分後。すぐに消火活動を開始したものの、火は隣の家にまで達しており、木造平屋建て民家(約120平方メートル)を全焼。隣の家の屋根や壁面の一部も焼いた。

全焼被害を出した家に住む男性は連絡ミスが生じたことを消防隊員などから聞かされた。男性の住む家の近くには消防団の車庫があり、ポンプ式の消防車が常駐していた。しかし、ここにいた消防車も小塩地区に向かっていた。

「本来ならボヤ程度で済むはずだった被害が連絡ミスによって拡大したことは明らか。正しい指示がなされていた場合、被害が小さくなったのは確実」として、地元の消防を管轄する福岡県南広域消防組合に対して総額2850万円あまりの損害賠償を求める民事訴訟を起こした。

消防組合側は指示に誤りがあったことは大筋で認めているが、訴訟については「訴状が到着し、内容を確認してから対応を検討したい」としている。

《石田真一》

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