カーチェイスは危険運転罪…控訴を棄却

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互いの進路を巡ってカーチェイス状態となり、その後に起きた衝突事故で路上の巻き添えを含めて3人を死傷させたとして危険運転致死傷罪に問われ、一審で懲役6年の判決を受けた53歳トラック運転手の男に対する控訴審判決が13日、東京高裁で開かれた。裁判所は被告の控訴を棄却する判決を言い渡している。

この事故は2002年5月29日の午前4時ごろに発生している。千代田区神田神保町付近の都道で、33歳の男(当時)が運転する乗用車と、52歳の男(同)が運転するタンクローリーが高速度でのカーチェイス状態となった。両者ともスピードを落とそうとしなかったため、最終的にはカーブを逸脱。対向車線側で荷降ろしを行っていたトラックに激突した。

2台に相次いで衝突されたトラックは横転。そのまま路上で客待ちをしていたタクシーに突っ込んだ。この際、60歳のタクシー運転手は路上に立っており、滑走してきたトラックの直撃を受けて死亡している。

一審の東京地裁では「早朝とはいえ、都心部の幹線道路上で80km/h以上の危険な速度で互いに煽り合い、路上に立っていただけの何の落ち度もない被害者を死亡させたという結果は重大であり、強い非難を免れない」と指摘。乗用車を運転していた男に懲役7年の実刑判決を、タンクローリーを運転していた男に同6年の実刑判決を言い渡した。

しかし、タンクローリー側の運転手の弁護人は「運転の荒さに危険運転罪を適用するのは納得できない。事故は単なる追い抜きが原因となった」として、業務上過失致死の適用を主張。東京高裁に控訴していた。

13日の控訴審判決で東京高裁の山田利夫裁判長は「被告は事故直前まで80km/h以上の速度で走行し、相手の進路を妨害する積極的な意図を持ち、自車を相手車両に接近されている。この部分が煽り行為というのは明白で、このような行為は危険運転罪にあたる」として、一審の東京地裁判決を支持。被告側の請求を棄却している。

飲酒や薬物要因ではなく、運転方法に対して危険運転罪が適用されるのはまれだが、裁判所は適用基準にある「歩行者や他の車の通行を妨害する目的を持ち、危険な速度で接近したり、割り込みや煽ったりすること」という部分を重視したようだ。

《石田真一》

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