予測不能…52人死傷事故の発端となった男性、不起訴

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神戸地検は3月31日、2002年7月に兵庫県淡路町内の神戸淡路鳴門自動車道で発生し、52人が死傷した多重衝突事故について、事故の発端となったエンジン故障を起こした大型トラックを運転していた45歳の男性を嫌疑不十分で不起訴処分にした。

問題の事故は2002年7月11日の午後8時40分ごろ発生している。神戸淡路鳴門自動車道下り線・明石海峡大橋で、走行していた大型トラックがエンジンブローを起こし、猛烈な白煙を吹き上げた。

橋の上には駐車スペースが無いことから、運転していた男性は明石海峡大橋を渡りきった淡路町内の路肩にトラックを停車させた。

しかし、この段階で白煙は周囲を覆い隠すほどの量に達した。視界を失ったことに危険を感じて大型バスが減速、これに気づくのが遅れた後続車が次々に突っ込み、結果としてバスなど9台が関係し、4人が死亡、48人が重軽傷を負う多重衝突事故に発展した。

警察では事故発生の状況などを調べていたが、エンジンから白煙を猛烈な勢いで吹き上げていることに気づいていたにも関わらず、男性が運転を継続したこと、トラックを停車させた場所が谷間にあたり、煙が付近に滞留して視界を失う状況を作り出したとして、この男性に一定の過失があったと認定。業務上過失致死傷容疑で書類送検していた。

神戸地検ではこの男性を含む、事故の関係者から事情を聞くなど、独自の捜査を続けてきたが、白煙噴出の原因となったエンジン故障については「エンジンに装着されたターボチャージャーのタービンに軸ずれが生じ、これが原因でブレードが折れるという、通常では起こりえない事態だった」と認定。

整備不良が指摘されたことについては「タービンの製造工程に問題があった可能性もあり、運転していた男性が故障を予見することは不可能だった」と結論付けた。

また、煙が滞留しやすい場所に停車させたということについては「夜間のため、現場が谷間であることはわからず、こうした場所で煙が滞留するということの予見も出来なかった」と判断。こうした理由から男性を嫌疑不十分で不起訴処分とした。

《石田真一》

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