大宰府市の有料駐車場税、徴収再開へ

自動車 社会 社会

太宰府市(福岡県)は25日、昨年5月に全国で初めて“法定外普通税”として導入した有料駐車場税について、3年後に大幅見直しを行うか、廃止を検討するという方針を明らかにした。

現在は導入に反対する有料駐車場業者が利用者からの税徴収を拒んでいるため、足並みを揃える意味ですべての事業者が徴収を見送り、事実上課税がストップした状態。しかし廃止時期を明文化し、時限化することで「2006年度までの3年間に限って徴収を行う」ことは反対派も大筋で認めたようだ。

太宰府市の有料駐車場税は「歴史と文化の環境税」という名目で、2003年5月から導入された。太宰府天満宮周辺の有料駐車場に「クルマを駐車する」という行為そのものを課税対象とし、駐車場の利用料金に上乗せする形で利用者から徴収するというものだった。

課税額は普通車100円、大型バス500円、マイクロバス300円とかなり高額で、駐車料金と一緒に徴収するため、利用者にとっては税金が含まれているとは実感しにくく、短時間の駐車であるほど、支払った料金内に占める税の部分が相対的に大きくなるという弊害を含んでいた。

また、税の徴収作業を業者が行う必要があることから“駐車場税反対同盟”を名乗る13業者が「課税対象地域外との価格差が事実上生じており、適用範囲外の業者に客を奪われる可能性もあるので不公平感が否めない」と主張。導入後も課税を拒否した。

このため対象区域内に課税する駐車場、課税しない駐車場が混在することとなり、混乱の様相を深めていた。8月には「現状のままでは観光客に迷惑が掛かる」と判断し、すべての業者が徴収をストップしている。

9月には駐車場事業者、市民代表、太宰府天満宮関係者で組織する「駐車場税運営協議会」が発足。事態の打開に向けた協議を開始したが、駐車場税反対同盟はこの協議会への参加を見送っている。

協議会では市が中心となり、新税徴収の再開を前提に事業実施計画案を策定。3者には今月上旬に提示されている。

この案ではこれまで用途が不透明だった税の利用方法についても「観光・産業の振興」、「交通体系の確立」、「環境保全」、「歴史・文化の保全」など、4事業を対象に使用することを明文化。

さらには事業実施期間を2004年度からの3年間と定め、事実上の時限条例として導入することとした。3年後になったら税のあり方を含め、廃止か存続かを改めて検討する。

市では「導入後に見直しを含めた検討を行うが、税制そのものを撤回することはない」とこれまで主張してきたが、今回示した案ではそれよりも譲歩している。

「今後の成り行きによっては廃止することも検討する」という含みがあり、それを交換条件として現時点での徴収を実施するという玉虫色の解決案だ。

反対同盟も「3年後に廃止されるというのなら、現時点での徴収はやむをえない」として、市の提示した案に大筋で同意したとみられており、今年4月から徴収が再開されるのは確実な情勢となった。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース