「無断で使ったから払いません」という損保に「それはダメ」と判決

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友人から借り受けたクルマを運転中に事故を起こし、自分の家族が加入する自動車総合保険の「他車運転危険担保特約」の適用を求めたものの、免責条項を理由に保険金支払いを拒んできた損保会社に対し、大阪地裁は8日、損保会社に特約適用を命じ、原告の保険金請求を容認する判決を言い渡した。

一連のトラブルは2001年5月に兵庫県神戸市内で起きた事故が発端となっている。原告の男性は友人から借り受けたクルマを運転中、交差点で他車との衝突事故を起こした。

この際、原告は家族のアドバイスもあり、家族が所有するクルマに掛けられた自動車総合保険のうち、保険加入対象以外のクルマで事故を起こした際に使える「他車運転危険担保特約」の適用を損保会社に申請した。しかし、損保会社は「免責条件に該当し、適用はできない」と回答してきた。

損保会社の主張によると、事故を起こしたクルマの所有名義は友人の母親で、原告は友人を通してクルマを借り受け、友人の母から直接の了解を得ていなかった。

このため損保会社は「所有名義人の許可なくクルマを使用した」と見なし、「正当な権利を有する者(所有者)の承諾を得ないで運転したときの事故では支払わない」という免責条項を適用。保険金支払いを拒否したが、これに原告が納得せず、大阪地裁に提訴していた。

8日に行われた判決で、大阪地裁の二本松利忠裁判長は「事故を起こしたクルマの所有名義は母親だが、主たる使用者は息子(原告の友人)である」ことを前提条件として認めている。その理由として「原告の友人はこれまでにも他人にクルマを貸すことがあり、それを母親が了承していた」ことを指摘。

「運転には所有者の黙示の承諾があった」と判断し、最終的に「損保会社の“所有者の承諾を得ないで運転した”という主張はそぐわない」と認定した。

その上で「自動車保険はクルマに掛けられたもので、その効力は同居親族にも及ぶとされており、特約でもそれは変わらない」として、原告には損保会社へ保険金を請求する権利があることを認める判決を言い渡した。

これは損保会社へ保険金支払いを命じる判決と同義であり、原告側の全面勝訴となった。

《石田真一》

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