賠償金の横領は許さない---懲役4年を求刑

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損保会社のミスにより、本来は被害者の口座に振り込まれるべき保険金3200万円が誤って加害者側の口座に振り込まれ、これに気づいた加害者がこれを引き出して一部を横領しようとした事件の論告求刑公判が1日、山形地裁で行われた。

検察側は裁判所に対し、懲役4年の判決を求めている。

この事件は今年6月6日に発生している。2001年5月に交通事故を起こして女性に重傷を負わせた46歳の男の銀行口座に、本来は被害者の女性に支払われるべき3200万円の保険金が事務手続き上のミスから誤って振り込まれてしまった。

男は6月7日にこの事実に気がつき、最初の2日間で555万円を引き出して自分の借金の穴埋めに使い、9日までに残る2645万円の全額引き出しを行い、それらを全て自宅に持ち帰った。

損保会社は9日午後になって振り込みミスが生じていたことに気づき、男に対して全額の返還を要求したが、男は「間違えたそちらが悪い。1500万円はすでに使ってしまった」と言い、1700万円分のみの返還を行った。

しかし、その後の交渉でも男は「使ってしまった」という言い訳を繰り返したため、警察に被害届を提出。

警察では男が数カ所のATM(現金自動預払機)を渡り歩いて現金を引き出していた様子などを防犯カメラが撮影した映像で確認。男が自分で現金を引き出したことは確実だとして窃盗容疑で逮捕した。

これまでの公判で、男が実際に使用したのは555万円に留まり、残る945万円についてはそのまま保管していたことが判明している。

検察側は1日に行われた論告求刑公判で「嘘をついて返還を逃れようとした態度は極めて悪質。自分が引き起こした交通事故の被害者の立場を一顧だにすることなく、賠償金を横領しようとする身勝手な態度は、厳しく指弾されるべき」と指摘。裁判所に対して懲役4年の判決を求めている。

《石田真一》

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