先生の発言は許せない---代わりに死ねば良かったと

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神奈川県教育委員会(県教委)は11日、横浜市内の県立高校に通う高校3年生の男子生徒2人が、同校に勤務する46歳男性教諭の言動にショックを受けたとして、校長に対して発言撤回を求める抗議文を提出していたことを明らかにした。

この生徒らと一緒にツーリングしていた同級生が事故で死亡した直後から、「勉強ができるヤツが死に、できないヤツが生き残った」と受け取れるような発言を繰り返していたという。

県教委の調べによると、一連のトラブルの発端となったのは6月19日に横浜市内で発生した交通死亡事故だという。横浜市内の県立高校に通う3人の生徒は、この日バイクでツーリングを行っていたが、うち1人が転倒事故を起こし、全身を強く打って死亡した。

事故現場に居合わせた2人は友人の死にショックを受け、学校を数日間欠席したことから、学校側は朝礼の際に全校生徒や教職員に対して「事故の話題については一切触れない」と確認。この話題は本来伏せられるはずだった。

ところが同校に勤務する46歳の男性教諭は、2人が欠席している間に行った授業中、生存した2人の生徒を名指しした上で「勉強できるXXが事故で死んで、勉強しないあの2人は生き残るんだから世の中は不条理だ」といったような内容の発言を行った。

実際にそのセリフを聞いた友人から「先生がこんなことを言っていた」と聞かされた2人は「自分たちが死ねばよかったということですか?」と教諭に抗議したが、今度はこの2人が受けている授業の最中に「仲の良かった友人が死んでいるのに、お前らはそれでも学校に来ている。俺がXXの親だったらお前らをぶん殴るのに…」とさらに暴言を繰り返した。

2人は同校の校長に対して「あの発言はXXの代わりにお前らが死ねと言っているようにしか聞こえない」と猛烈に抗議、発言の撤回と謝罪を求める文書を提出した。これに驚いた校長が教諭に確認を取ったところ、「代わりにあの2人が死ねばよかったと言った記憶はないが、それに近い発言はしたかもしれない」と暴言があったことを認め、さらには「配慮に欠く不適切な表現があったかもしれない」とも認めた。

校長は県教委に対して経緯を報告。これを受けた県教委も関係者に対する聞き取り調査を実施した。その結果、こうした暴言が事故から少なくとも数日間に渡り、この教諭が担当する授業の際に複数のクラスでなされていたことが判明した。教室という密室で行われたため、他の教職員の目には触れることがなく、当事者以外の生徒も表立っては異議を唱えないため、暴言は徐々にエスカレートしていったとみられている。

県教委では「言葉による暴力は、体罰よりも生徒に与える影響が深刻である」として、昨年10月からは教師の暴言についても処分対象とする方針を打ち出している。実際に生徒に対する暴言が原因で懲戒処分が実施された例は無いのだが、今回のケースは暴言の対象となった生徒2人が友人の死を目前で見た直後だけに、教諭の発言が真意でないとした場合でも、それが2人の精神状態に与える影響は甚大と考えられるため、県教委ではこの教諭に対しての処分を前提とした調査を続けていくことを表明している。

《石田真一》

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