岩手県は7日、県職員が起こした交通事故の賠償金として約5280万円を県予算から支出することを決め、6月の補正予算案に計上したことを明らかにした。賠償金の総額は約1億0390万円で、過失相殺分と保険金からの支出を除いた残りの金額が5280万円の部分となるが、これほど高額の賠償を県が行うというのは前例がないという。
岩手県によると、問題の事故は2001年11月5日に発生している。同日の午後6時15分ごろ、花巻空港建設事務所に勤務する男性職員が県の公用車で国道4号線を走行していた際、花巻市葛付近の丁字路交差点で一時停止を怠った状態で右折し、対向してきた69歳男性(当時)の運転する軽自動車と正面衝突する事故を起こした。
男性は頚椎を損傷する重傷を負って半身が麻痺。常に介護を必要とする状態であることから、第一級の後遺障害認定を受けた。
後遺障害に関連する慰謝料や介護料を含めた賠償金の額は1億0390万円にも達したが、男性側にも1割の過失が生じるという過失相殺が適用され、職員側へは約9400万円の請求が行われた。
しかし、職務中の事故であるということや、公用車での事故であるということから県が連帯してこれを支払う必要が生じた。9400万円のうち、自賠責保険で3120万円、任意保険で1000万円が支払われたが、残る5280万円は県の予算から一括で支払うことになった。
県の公用車が絡む賠償事故としては過去最高額となるが、事故を起こした職員から退職金分を拠出させた方がいいのではないかという声もあり、賠償金を相手方に支払うこと自体は決まったが、まだまだ波紋を呼びそうだ。