【0.15ミリグラムで30万円】酒に強いと自認している人が飲酒運転常習者に

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飲酒することで体内に取り込んだアルコールが分解されるまでの時間は個人差がある。それによって「酒に強い」、あるいは「酒に弱い」という自覚が司られていると言っても決して過言ではない。

これを書いている記者自身は「酒に強い」と自覚している。正確には「体質的に酔いを感じることができない」というタイプ。とにかく何を、どれだけ飲もうと顔色すら変わらない。警察官に言わせると「こういうタイプこそ飲酒運転の常習者になりやすい」そうだ。そして酒気帯びの新基準で検挙される人の大半が、記者のような「酩酊感を感じにくい人」なのだという。

個人差というものはたしかに存在するが、体に取り込まれたアルコールが分解されるまでの所要時間は10〜12時間と一般に言われている。血中のアルコール濃度が最も上昇するのは飲み始めから2時間後。回転率重視の大手居酒屋チェーンなら、店員から「ラストオーダーです」という宣言がやんわりと入る頃だ。

同じ量のアルコールを摂取した場合でも、自分は酒に弱いと自覚するタイプ、つまりは「少量の酒でも酔った」と思える“酩酊感の強い人”であれば、血中アルコール濃度のピーク時に自分でクルマを運転して帰ろうとは思わないだろう。ところが“酩酊感の弱い人”は「飲み始めてから時間も経ったし、酔いは醒めた」と思いこんでしまう。実際には「酔ったという感じがしないだけで、血中アルコール濃度は上昇のピークを迎えている」のだが、自分では気がつかない。そして「もう大丈夫」と飲酒運転を行ってしまう。その先に待つのは検挙か、事故か、とにかくハッピーな結末ではない。

警察官いわく、飲酒運転の取り締まりを受けた人が必ず言うセリフがあるという。それが「酔いはもう醒めていると思った」というもの。検挙者の半数はこのセリフを一度は口にするらしい。酩酊感を感じることはないかもしれないが、体の中にアルコールが残留しているので呼気検査で高い数値を示すことも珍しくないが、「酒気帯びです」と警察官から告げられると、今度は「これって正しいんですか?」と問う。それが決まりごとのように取り締まり現場では行われているという。

酩酊感を感じにくい人は自分の心にリミッターを持ち、「酒は12時間経過しないと体から抜けない」ということをきちんと自覚すべきだ。さもないと取り返しのつかないことに…。

《会田肇》

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