バス事故の負傷者は誰もシートベルトを着用せず---実態が明らかに

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北海道警は4日、先月道内で相次いだバス事故で、負傷者のほぼ全てがシートベルト着用を怠っていたという実態を明らかにした。事故を起こした2台のバスに乗っていた乗客からの聞き取り調査によって明らかになったもの。道警は事故直後にも北海道バス協会に対して「乗客にベルト着用を徹底させる」という通告を行っているが、同日付で改めてベルト着用の徹底を要請した。

これは先月23日に森町内の国道5号線で起きた大型バスの転落事故、24日に札幌市内の道央自動車道の札幌インターチェンジで起きた高速バスのETCゲート激突事故に巻き込まれた合計56人の乗客から聞き取り調査を行った結果として明らかになったもの。二つの事故に巻き込まれた乗客の数は合わせて56人だが、このうち1人を除く全員がシートベルトを着用していなかった。この結果、事故が起きた際にはシートから投げ出されるなどして負傷している。また、シートベルトを着用していた1人(札幌での事故被害者)も降車するバス停が近いことを時刻で判断してベルトを外していたが、バスはこの直後にゲートへ激突。割れたフロントガラスの隙間から車外に放出されて重傷を負った。

二つの事故は観光バス(森町の事故)と、路線高速バス(札幌市の事故)という違いがあるが、使用しているバスはほぼ同一の構造となっている。路線高速バスでは発車直後に「高速道路を走行するため、必ずシートベルトを着用してください」というアナウンスが流されるものの、実際に着用するかどうかは乗客に一任されており、航空機と違って乗務員がベルト着用を確認することもない。

また、観光バスではシートベルト着用の注意喚起はなされておらず、乗客の大半はベルトをしていないものと考えられる。道路交通法の規定でもベルト着用が義務付けられているのは運転席と助手席のみ。通常の乗用車では努力義務規定として「後部座席の人も安全のためにシートベルトを着用するように」と書かれているが、バスの客席については何も明示されていないのが現状だ。

しかし、北海道警の交通安全教育課では「50人を超える負傷者が出ているのに、事業者には安全確保の意識が薄い」として、道バス協会にさらなる徹底を要請。シートベルト着用の告知手段を見直すことも視野に入れ、情報交換を進めていく方針を示した。

《石田真一》

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