混和軽油の販売・使用は巧妙狡猾---札幌地裁が販売・購入双方を有罪に

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灯油とA重油を混合し、トラックの燃料として使用可能な「混和軽油」を密造・販売して地方税法違反の罪に問われていた54歳の石油製品販売業の男(販売側)と、56歳の運送業者社長(購入側)に対する判決公判が27日に札幌地裁で開かれた。裁判長は「税制の盲点を突いた巧妙狡猾な犯罪」と認定し、販売側に対して懲役1年6カ月(執行猶予3年)、罰金200万円の実刑判決を、購入側には懲役1年(執行猶予3年)の有罪判決をそれぞれ言い渡した。

判決によると、被告は1997年11月ごろからボイラー用のA重油と灯油を混ぜ合わせて精製した「混和軽油」を密造し、摘発を受ける2000年11月までの間に合わせて3000キロリットルを札幌市内の運送会社など14社に販売。道に対して軽油引取税の申告を行わず、約9700万円を脱税し、地方税法違反の罪に問われていた。

公判中、買い手側の運送会社社長は「密造された軽油だとは知らなかった」と容疑を否認し、販売側との共謀を否定したが、判決公判で札幌地裁の遠藤和正裁判長は「税の不申告を十分に認識し、自己のための犯罪を遂行した」と厳しく指摘した。また、製造・販売を行った男に対しては「税制の盲点を突いた巧妙狡猾かつ、用意周到な犯行で不正軽油を販売することで巨額の利益を得ようとする動機にも酌量の余地はない」と断罪。販売側に懲役1年6カ月(執行猶予3年)、罰金200万円の実刑判決を、購入側には懲役1年(執行猶予3年)の有罪判決をそれぞれ言い渡した。

問題の「混和軽油」とはA重油と軽油、または灯油をミックスしたもので、ディーゼルエンジンに使用することができる。しかし、大量の粒子状物質(PM)や二酸化窒素(Nox)を排出するなど環境負荷が高く、最近は自治体による抜き打ちの燃料抜き取り検査で使用が発覚する例が急増している。運送会社がこの違法燃料を使用する背景には、税金が掛かっていないので安価で購入できるという大きな理由があるが、エンジンに負荷が掛かって故障が増えるため、かえってコストが掛かるという指摘もある。

《石田真一》

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