著しい速度違反のクルマに優先通行権は無い---さいたま地裁が断罪

猛スピードで交差点に進入し、対向車線から右折してきたクルマに衝突したことで2名を死傷させ、業務上過失致死・致傷罪に問われている26歳の男に対しての判決公判が27日に開かれ、裁判官は懲役2年6カ月(執行猶予5年)の有罪判決を言い渡した。

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猛スピードで交差点に進入し、対向車線から右折してきたクルマに衝突したことで2名を死傷させ、業務上過失致死・致傷罪に問われている26歳の男に対しての判決公判が27日にさいたま地裁で開かれ、裁判官は「減速を怠った過失は大きい」と認定し、被告に懲役2年6カ月(執行猶予5年)の有罪判決を言い渡した。

この事故は1998年11月22日、埼玉県川口市の県道交差点で、対向車線から右折しようとしたクルマの側面に、著しい速度超過状態で走ってきた直進車が激突し、右折していた側のクルマに乗っていた1人が即死、1人が重傷を負ったというもの。

事故当時、直進車の運転手は「80−90km/hで走っていた」と警察に証言。速度違反を起こしたことは認めたが、「優先通行権はこちらにあるにも関わらず、右折車が強引に曲がってきた」と主張し続け、検察も当初は「右折側の責任が大きい」として不起訴処分にしていた。

しかし、右折車に乗っていて重傷を負いながら生還した被害者が「加害者が速度違反の事実を認めているのに不起訴はおかしい」として検察審査会に再捜査を要請。昨年5月に不起訴不当の評決が下り、事件は地検に差し戻される形となった。地検が再捜査を行ったところ、衝突時に直進車が出していた速度は制限速度の2倍を超える115−130km/hでないと加害者本人の供述と合致しないことが判明。このため地検は昨年6月、「加害者の証言は保身のための虚偽である可能性が高い」として、在宅のまま業務上過失致死・致傷罪で起訴していた。

27日の判決でさいたま地裁の大渕真喜子裁判官は「被告のクルマが制限速度を大幅に上回っていたのは事実であり、直進車の優先通行権を主張できる状況に無い」と指摘。その上で「交差点に強引に進入したのは直進車の側であり、減速が必要であるにも関わらずそれを怠った過失はより大きい」として、懲役2年6カ月の求刑に対し、懲役2年6カ月(執行猶予5年)の有罪判決を言い渡した。

この事故については被告が公判中も「30−40km/hの速度超過でしかない」と主張。右折側に事故原因があるとして賠償金の支払いも今まで拒んできたという経緯がある。今回の有罪判決で、支払い拒否の最大の理由だった「被害者側の過大な責任」が裁判所によって否定されたことになり、これを理由に保険金の支払いをしなかった保険会社の責任も間接的に問われることになりそうだ。
《石田真一》

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