警察は過去の失態を葬りたい? 根室の時効事件で被害者無視の監査報告

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北海道警・根室警察署が1997年に起きた車両火災事件(業務上過失傷害容疑事件)の捜査を行わず、今年6月で時効が成立した問題で、道警・釧路方面本部監察官室が「当時の捜査に問題はなかった」とする調査計画を発表していたことがわかった。

この事件は1997年6月28日に根室市で起きている。根室市在住の当時48歳の男性が自分のクルマにタバコを吸ったままの状態で近づいたところ、クルマが大爆発を起こしたというものだ。男性は爆風で飛ばされた際、背骨などを著しく損傷し、全治6カ月の重傷を負った。

当時、捜査を担当した根室警察署は、クルマの爆発原因がガソリンスタンド店員による燃料タンクのキャップ閉め忘れであると判断。被害者の男性が事故2日前に給油を行ったスタンドからキャップも回収した。ところが根室署の担当者は被害者が重傷を負っていることから、事故直後の事情聴取を断念。店員から簡単な始末書を提出させただけで事件の捜査を終わらせてしまった。

今年6月になり、この男性が「あの事件はどうなった?」と問い合わせた際、その後の捜査が何も行われず、関係者への処分も一切行われないまま時効となっていたことが判明。被害者が道警に対して事件の顛末を説明するように求めていた。

道警・釧路方面本部の監察官室が当時の担当者などから聞き取り調査を行ったところ、「男性のケガが軽かったこと」や、「事件化を望まず、示談で話を終わらせたいという申し出があった」などの理由から、「捜査の継続を行わなくとも良いと考えた」という回答が複数の担当者からあり、道警としては「当時の捜査に問題はない」との考えに至ったという。

ただし、9月中旬にこの事件が発覚した際には、現在の根室署幹部が「当時の資料を紛失していた」としており、事件の継続を望まないというのが関係者の発言だったかも疑わしい状況にある。加えて背骨に損傷を負い、当時は事情聴取すら断念したという被害者のケガの程度が「軽かった」という判断にも疑問を感じる。

《石田真一》

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