ラッピング広告付きバスはいらない? 芦屋市が是非を問うアンケート実施

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芦屋市は23日、「景観を破壊する」として市民の不評を集めているラッピング広告付きバスについての是非を問うアンケートを市役所のWebサイトに掲載し、広く意見を集めることになった。反対意見が多く集まった場合には市内を走る路線を運行するバス会社に対して自粛を呼びかける方向で検討している。

兵庫県では神戸市が屋外広告物条例の規制を緩和し、市営バスへのラッピング広告を無解禁した。この動きを受け、兵庫県としても規制緩和に向けた取り組みを始めることとなった。

これに大慌てとなったのが芦屋市。芦屋市は関西でも有数の高級住宅街を抱えた自治体として全国的にも有名で、「国際文化住宅都市」を市のテーマとして掲げるほど景観に注意を払ってきたという経緯がある。

市内には私鉄系のバス会社が複数の路線を有しており、将来的にはラッピング広告を付けたバスが走る可能性も出てきた。現状では乗り入れは行われていないが、神戸などの周辺都市でラッピング広告付きバスが目立ち始めたことに危機感を持った市民から「景観を破壊する広告付きバスの乗り入れは好ましくない。禁止すべきだ」という訴えが数ヶ月前から目立つようになってきた。

そこで市では「ラッピング広告付きバスの是非を問うアンケート」の実施を決め、23日から市役所のWebサイトで「芦屋市にラッピングバスが走っていても良いと考えますか」、「景観と調和していると思いますか」、「街の賑わいをもたらすと思いますか」などを聞くアンケートを掲載。市民や、芦屋市に通う人たちからの意見を広く集めることとなった。

「街の景観とラッピング広告付きのバスがマッチしない」という問題は、観光都市・京都でも起きている。赤字で悩む市交通局の建て直しを図るために、京都市が条例を改正してまで導入した市バスへの車体広告。これが市民や観光客から「これまで景観に最大限の注意を払ってきたというのに何を考えているんだ」と猛反発を受け、泣く泣く取り下げたという出来事もすでに起きている。

ただし、芦屋市の場合、市が独自の規制条例を持つわけではなく、兵庫県が県として規制緩和に乗り出した場合はこれを遵守しなくてはならない。市民の大多数が「ラッピング広告付きバスは芦屋に必要ない」と判断した場合でも、乗り入れを行うバス会社に対して強制する権限は有していないのだ。あくまでも「市内に乗り入れる路線に使わないでください」と自粛を呼びかけるしかないというのが実情で、どこまで実行力があるのかさえ不明のまま。住民のエゴといえばそれまでの問題だが、この先どうなるのかが興味深いところ。

ちなみに東京の高級住宅街である成城(世田谷区)、田園調布(大田区)では「広告付きバスを使うな」というような運動は起きていないようだ。「金持ちはバスなんか眼中にない」ということなのかもしれないが…。

《石田真一》

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