借金を巡るトラブルから男性を故意にひき殺したとして、殺人と死体遺棄などの罪に問われている35歳の男に対して前橋地裁は15日、「確定的な殺意に基づいた残虐で執拗な犯行」と断定し、懲役12年の実刑判決を言い渡した。
この事件は昨年12月7日に起きている。借金返済に訪れた被告と、その態度に腹を立てた被害者の58歳男性が殴り合いに発展。被害者が路上に倒れたところを狙い、クルマを急発進させて故意にひき殺したというもの。被告は「偶発的な事故」と主張。死体遺棄については「気が動転していた」と語り、これまで起訴事実を全面的に否認してきた。
15日の判決公判で前橋地裁の長谷川憲一裁判長は「被告はクルマと被害者が衝突したことを認識しながらブレーキを踏んでおらず、さらにはUターンして再度はねた」という検察側の主張を認定。被告側が主張するような偶発的に起きた事故ではなく、確定的な殺意の基で起きたものと断定した。
その上で「被害者を車でひき殺すという、確定的な殺意に基づいた残虐で執拗な犯行で情状酌量の余地はない。公判中も自己の責任を棚上げした不合理な弁解に終始し、真摯な反省の態度が見られない」として、懲役14年の求刑に対して、懲役12年の実刑判決を言い渡している。