1DINタイプでインダッシュモニターを採用する『HDX-700』には、「Zactionmecha」(ザクションメカ)という新しい機構が採用されている。モニターを立ち上げるアクションを改める理由、それは搭載可能車を増やすためだけではなかった。
従来からのインダッシュ式モニターの場合、オープン操作をすると筐体部からモニターが手前にせり出し、奥に向かって立ち上がるという方式だった。今回採用されたザクションメカでは、筐体部からモニターを収納したスライドレール(架台)ごとせり出し、奥から手前に向かって立ち上がってくるという、逆のアクションになっている。
アクションを変えるという程度で、たいした変更にも思えないのだが、ナビシステムの開発を行うカーエレクトロニクス事業部の長友秀幸チームリーダーは「弊社にとっては革命的なものでした」と強調する。
ケンウッドでは他社のようにリモコンではなく、画面に表示されたボタンやアイコンを「直に押す」というタッチパネルコントロールを一貫して導入している。従来型の場合、モニターが立ち上げのために動作する方向と、タッチパネルの操作方向が同じだったため、ボタンを押す際に「モニターがガタつく」という欠点があった。指で押した際にもモニターが揺れない反発力を確保するためには、トルクの大きなモーターやギアで常に保持するしかなく、装置を小型化する支障にもなっていた。
ザクションメカでは、モニター立ち上げ方向と、指による押し下げ方向が逆であり、当初から一定の反発力を維持しやすい構造になっている。保持するための機構も簡略化することができ、7インチという大型サイズの液晶でも収納させることが可能となった。
さらにはアングルを調整する幅が従来型よりも拡大し、視認性が格段に向上していることも特徴のひとつで、「ひさしのようなせり出しが(ダッシュボードに)あり、インダッシュ式の取り付けが不可能だった車種においても装着が可能になっています。立ち上げ機構の改善がブレイクスルーになって、懸案事項は一気に解消しました。これは本当にすごいんです」と長友チームリーダーは語る。
正に“逆転の発想”が功を奏したわけだ。