福島県警は26日、先月末に二本松市内の東北自動車道上り線で発生した多重衝突事故に関連し、事故を起こした運転手に過酷な勤務を命じていたとして、この運転手が勤務する運送会社の運行管理責任者を道路交通法違反(過労運転下命)容疑で逮捕したことを明らかにした。
この事故は8月29日の午後、福島県二本松市舘野の東北自動車道上り線で、追い越し車線を走っていた大型トラックが前方の乗用車に追突。これを発端として合計8台が巻き込まれる多重衝突事故に発展した。この事故で1名が死亡、5名が重軽傷を負っている。当時、現場付近は別の物損事故によって走行車線が閉鎖されており、追い越し車線では軽い渋滞が生じていたが、最初に追突事故を起こした運転手は居眠りをしており、「渋滞していることには全く気がつかなかった」と供述していた。
警察でこの運転手の勤務状況を調べたところ、拘束時間が1日あたり18時間近いことがわかった。事故当時、運転手は埼玉〜仙台間の定期運送業務を月曜から土曜まで毎日行っており、睡眠も基本的に車内で取らざるを得ないほど過酷であることが判明した。
業務は会社の命令で行われており、警察では「運転者のみに責任を追及するのは酷である」と判断。運転手の勤務する会社で運行管理を担当していた50歳の男を下命容疑で逮捕することを決めたという。