ブルートゥースとWi-Fi技術が大変革をもたらす---ABIの「車載無線技術」報告書

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アメリカのアライド・ビジネス・インテリジェンス社(ABI)では、車載用のブルートゥースおよび802.11技術や、アプリケーションの市場動向に関しての報告書『Automotive Wireless Networks: Examining The Proliferation of WLAN and PAN Technologies Into The Automotive Platform』(車載用ワイヤレスネットワーク−WLAN、PAN技術の導入−)を発行した。

日本ではグローバルインフォメーション社が販売する。ABI=Allied Business Intelligenceは、世界の通信市場動向および技術開発ベンダーに関連するリサーチを専門とする、米国の調査会社。

同書によれば、ブルートゥースとWi-Fi(すなわち802.11)の無線技術の使用が、自動車内外の環境を劇的に変容させる。シリコンベンダー、ハードウェアメーカー、また自動車メーカーやガソリン小売業者まで、自動車業界のあらゆる部門に新しいビジネス機会をもたらすという。

量産車へのブルートゥース導入は、年内に発売予定の、クライスラーの「Uconnect」ブルートゥース・ハンズフリーキットが初めてとなる。 通話機能が、自動車市場向けブルートゥース機器の発展の牽引役になるだろう。

いっぽうWi-Fiを推進するのは、米国連邦通信委員会(FCC)の5.858−5.925GHz帯のDSRC(狭域無線通信)への割り当てだ。これで道路通行料金徴収からエンターテイメントまで、相互運用できる車載サービスが可能になる。しかしシリコンコスト、電力消費、地上インフラ設備などがハードル。

802.11ハードウェア搭載車がラインを離れるまではまだ2−3年かかるが、ブルートゥース機器は03年から米、日本、欧州車に組み込まれる予定。当報告書によれば、07年には、新車の20%にブルートゥース機器が搭載され、12%に802.11ハードウェアが組み込まれるという。

ABIのシニアアナリストで執筆者のフランク・ビケス氏は、「ハンズフリー電話は幕開け。ブルートゥースや802.11が新しいアプリケーションを可能にする」と述べ、遠隔車両診断、テレマティックス、安全システム、音声、動画のリモート操作によるダウンロードなどを例にあげた。

報告書ではほかに、ブルートゥースと802.11の自動車ノードとデバイス出荷額についての予測、マーケットでの主要プレーヤーの分析も掲載されている。さらに規制状況や標準化の問題、また音楽のダウンロードから道路通行料徴収システムまで様々なアプリケーション、車載用WLANやPANのノード、PDAやハンドセットなどの付属品についても記述している。

《高木啓》

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