今回の『モービルエレクトロニクスショー』で、記者自身が最も試してみたかったことは、今年3月にエイベックスが発売を開始したコピーコントロールCD(CCCD)が高級機ではどのように聞こえるかということだった。
CCCDは現在、エイベックスと東芝が導入を開始している。エイベックスは5月に発売したシングル、アルバムのほぼ全てをCCCD化している。が、東芝では宇多田ヒカルのプロデューサーが「現状の技術では音質の劣化が著しく、お聞かせできるようなレベルに至らない」として採用を見送ったという経緯がある。当初は全社的に実施しようとしたが、No1アーティストのこだわりにレコード会社が折れた格好だ。
家庭用オーディオで聞く限り、著しい劣化というものを確認することはできない。それでは「数百万円掛けたカーオーディオならどうなのだろうか?」という疑問から実験することにしてみた。市販されているCCCDと、そのCCCDから特殊な方法でコピー防止信号を除去したCD-R(※)を持参し、CCCDの動作確認をメーカーで実施済みのヘッドユニットを使って再生を試みた。
(※ 今回は試聴実験を行うため、あえてこのようなCDを作りましたが、コピーガードを外すという行為は違法となります)
結果は「これほどまでに違うのか」などと驚くほど。CCCDは高音も低音もカットされ、全体的にモゴモゴとした濁った音になる。これがコピー信号を除去したものでは、ちゃんとした音が出るのだ。エイベックスでは「品質に大差は生じない」と導入時に説明しているが、大差が無いどころの話ではなく、その差は歴然としている。100万円台のシステムでこれほどハッキリするということは、レコーディングスタジオの設備ではさらに決定的な違いが現れていたのだろう。
企業を守るという意味で、コピーガード技術の導入は止むを得ないという言い分もわかる。しかし、これでは比較試聴手段を持たない一般の消費者を軽視した品質だとしか言いようがない。
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