アルコール量は「酒気帯び未満」? 徳島で警官が飲酒運転事故

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徳島県警は2日、徳島東警察署の刑事1課に所属する32歳の巡査部長が同僚との飲酒後にクルマを運転し、4人がケガをする玉突き事故を起こしていたことを公表した。しかし、この警官の飲酒量は「微々たるもの」として、実名公開を避けている。

警察の発表によると、この巡査部長は1日の午後7時ごろから11時まで、同僚の警察官6、7人と徳島市内の居酒屋で飲酒していたという。その後、この巡査部長は自分の所有するクルマで帰宅中、2日の午前0時ごろ、徳島市昭和町の県道で信号待ちをしていた64歳女性運転のクルマに追突。衝突されたクルマはその前にいたタクシーにもぶつかり、クルマ3台が関係する玉突き事故となった。この事故で4人が打撲などの軽傷を負っている。

巡査部長は通報を受けて駆けつけた警察官に検挙されたが、検出されたアルコール分が呼気1リットル中0.15ミリグラムだったので酒気帯びとは認定されず、業務上過失致傷で検挙されている。

県警では2日午前にこの事実を発表したが、検出されたアルコール量が「微々たるものであった」として、事故を起こした巡査部長の実名発表を避け、警察内部での処分についても「現状では保留、今後の捜査の成り行き次第で判断する」として明言しなかった。

公式発表によると、この巡査部長が4時間で飲酒した量は「ビール大瓶2−3本、ウイスキー水割り2−3杯」とされている。検出されたアルコール分0.15ミリグラムは現行の道路交通法ではたしかに酒気帯びには当たらないが、6月から施行される改正法では酒気帯び認定される数値だ。

今回の事故での問題点はいくつかあり、まず警察官同士で飲酒していたにも関わらず、誰もこの巡査部長の飲酒運転をとがめなかったこと。また検出されたアルコール量も問題となる。警察庁が道交法の改正案を作成した際、ビールのようなアルコール分の少ない酒を飲んだ際にも、その後1時間以内で体内分解されない数値として、基準値0.15ミリグラムを定めたという経緯がある。公式発表のとおり、午後11時まで飲み、運転まで1時間のブランクを置いたとしたなら、この検出量で収まるかもしれない。

今回この巡査部長の罪状は業務上過失致傷となっているが、6月以降ならば、飲酒運転が原因で4人に負傷させたのであれば危険運転致傷罪の適用は免れない。そして判例では執行猶予なしの懲役刑が言い渡されるケースでもある。

4人にケガをさせておいて「加害者が一般市民ならあえて発表するような事故ではない。警察官であることを考慮し、所属と年齢だけは明かした。ただし規定量以下のため、プライバシーを考慮して実名公表はしない」で済ます事態ではないだろう。

《石田真一》

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