有利子負債7000億円……F1の商業権を持つ巨大メディアがピンチ!?

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F1の商業権を有する「SLEC」を参加に持つドイツの巨大メディア「キルヒ」の経営が暗礁に乗り上げたことを欧米のメディア各社が11日に報じた。世界的な景気減速の影響を受けて広告収入が激減したことに加え、本業の有料テレビ加入者が低迷していることが原因。

キルヒは昨年、同様の経営難に陥っていたメディア大手「EMTV」を救済するため、同社が保有していたSLEC株(全体の25%)を購入。同社がバーニー・エクルストン氏から追加購入する予定だった25%分の株式の購買権も取得し、F1の商業権を手にすることになった。

しかし、この株式追加購入費用が当初予定より上昇したことや、広告収入が激減したために資金繰りが悪化。抱える有利子負債の額は約60億ユーロ(約7000億円)にも達した。このため、同社に融資を行っていた銀行団は組織のスリム化を激しく要求。経営悪化の元凶となったSLECの売却を提案したという。

キルヒはサッカー・ワールドカップの放映権も有しており、ヨーロッパ域内でのスポーツ中継に強烈なイニシアティブを発揮する企業でもある。それだけに事実上の分割要請と判断できる銀行団の要請に興味を示す巨大メディアは多く、オーストラリアのメディア王であるルパード・マードック氏が同社の買収に興味を表明している。

マードック氏の有する衛星放送会社「B sky B」は、ヨーロッパ域内でオリンピックなどのスポーツ中継を全てペイ・パービュー(有料放送)化しようとして猛反発をくらった経緯を持つが、もし同社がキルヒの買収に成功した場合、同様の措置をF1中継でも行う可能性がある。その場合、現在は無料で視聴できるために人気を集めているF1中継が一般市民から遠ざけられ、そのために人気が降下してしまうということも予測される。

《石田真一》

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