過剰投与の危険性は熟知していたはず---インスリン投与者には辛い判決

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糖尿病の治療に使っていたインスリンが原因でトラック運転中に意識障害を起こし、大学生をはねて死亡させた33歳の女性トラックドライバーに対し、広島地裁はこのドライバーに禁固1年の判決を言い渡した。

この事故は昨年8月24日早朝、広島県海田町内の国道2号線で、トラックを運転していた女性が意識障害を起こして、後方から自転車に突っ込み、乗っていた大学生を死亡させたというもの。女性は糖尿病を患っており、医師から治療薬としてインスリンの投与を進められていたが、投与の回数や量などを守っておらず、事故当日も仕事の前に必要以上のインスリンを投与していたとされる。

インスリンは血糖値を下げる作用があるが、過剰に投与すると必要以上の血糖を奪い、意識が失われるという副作用をもたらす。今回の事故も過剰投与が原因とされており、警察庁でも「インスリン投与者」運転免許の欠格事由として検討課題にしていたという経緯がある。検察側は「事故は本人が自己の病状を理解していれば起きなかった」と主張し、弁護側は「過剰投与の弊害を医師が告知していなかったことが事故の原因」と反論していた。

20日の判決で広島地裁の高原裁判官は「インスリンの過剰投与が意識障害を招くことを認識していながら、それでもトラックの運転をしていたというのは、危険性を軽視したに他ならない」として、禁固1年6カ月の求刑に対して、禁固1年の判決を言い渡した。

《石田真一》

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