『インプレッサWRX』のデビューからわずか3か月あまり。いよいよ発表された「STi」だが、ベースとなったNBと比べて、外観上の相違点は思いのほか少ない。具体的には、フォグランプカバー、ブレーキ・ホイール周り、ルーフベンチレーター(「RA」仕様のみ)といったところ。過激を売り物にしてきたSTiにしてはややトーンダウン?
「いや、そうでもないんですよ。先代モデルは7年間作り続けてきて、年々見てくれも変えながらの進化だったわけです。今回はそれを一度リセットしようと。ですからこれがバージョン1になるわけです」
というのは、富士重工業の商品企画本部、原田博幸主事。いわゆるカタチで脅かすのではなく、中味で勝負しようということだったそうだ。むしろ賛否両論を呼んだセダンボディーの3ナンバー化も、このSTiの完成度を上げるために必要だったことと断言する。
継ぎ足しの進化ではないことは、細部を見てもわかる。たとえば大型エアインテーク。ボンネットの下には、コア容積を前モデル比で約1.5倍に拡大したインタークーラーが控える。
「従来までは搭載角度も水平に近かったのですが、エアをスムーズに取り入れて効率よく流すように傾斜角度のチューニングを重ねました。インテークの大型化もそうですが、裏側にある導風板も流体力学から設計変更しました。単に大きくしただけでは効率が悪いんです」
フロントマスクを見ただけでは、一瞬ノーマルのセダンと見分けがつかない。しかもクリッとした丸目は、ちょっと可愛げだ。だが、その本性はWRCマシンなみ。まるでシドニーオリンピックの高橋尚子選手だ。どことなく顔つきも、あの“Qちゃん”に似ているではないか。何はともあれ、後ろにつかれたら道を譲ったほうがいいかも。