【トリノショー直前特集】世界のカリスマデザイナーたち(その3)パトリック・ルケマン/ルノー

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ピニンファリーナやジウジアーロといった、スターデザイナーが生まれにくい現在のカーデザイン界。その中にあって、強烈な個性とともに13年に渡ってフレンチ・デザインをリ ードしてきたインハウス・デザイナーがおり、その作品は近未来のカーデザインを予言するともいわれている。

パトリック・ルケマン−−−。ルケマンの特徴は、ひとくちにいうと、つねに新しいデザイン手法やジャンルの開拓に専心していることにつきる。

フォードで17年間デザインを担当し、80年代にはシエラを発表。これは空力デザインの先駆けとして注目された。空力という地味な基礎研究をデザインの根幹にすえ、画期的な魅力に変えてしまったのだ。

ルノーで手がけたトゥインゴ、セニックでは、コンパクトモデルにモノスペースという新たなパッケージングデザインを提案。その斬新さから発表時はコンセプトカーと思われたアヴァンタイムも、いよいよ年内生産が予定されている。ルケマン・デザインは、独創的なフレンチ・カーのなかでもとくに異彩を放っている。

移籍当時、停滞していたルノーのデザインを活性化させ、デザインばかりでなく企業の再建を果たした。日産のゴーン社長が、デザイン部門の強化にいち早く着手したのもこうした前例があってのことだろう。

●パトリック・ルケマン
1945年フランス生まれ。バーミンガム工科大学で学び、66年シムカに入社。68年にフォードに移籍し、イギリス、ドイツ、アメリカでデザインを担当。85年VWアウディグループを経て、87年にルノー入社。現在、品質&コーポレートデザイン担当上級副社長を務める。

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